2020年院試を受ける方へ水越伸からのメッセージ

  • はじめに

2020年6月6日(土)午後、東京大学大学院学際情報学府(以下、学府)入試説明会がオンラインで開催されます。
事前申込みが必要です。

また、6月20日(土)から27日(金)まで「オープンラボ・ウィーク (Open Lab Week)」と題して、僕を始め同僚の教員たちが、それぞれのやり方で研究室紹介をおこないます。
その他もいろいろな情報があるので、学環・学府のウェブサイトをチェックしていてください。

学府には6つのコースがあり、そのなかで僕がおもに学生を受け入れているのは文化・人間情報学コース(以下、文人コース)です。
文人コースは、夏と冬の年2回、修士課程入試をおこないます(博士課程入試は冬の一回だけ)。
夏は出願が7月、本番は8月です。
冬は出願が12月、本番が2月です。
新型コロナウイルスの危機はまだ去っていませんが、今年も夏冬2回の入試がおこなわれます。

6月20日(土)午前には文人コースのオンライン入試説明会があります。こちらも事前申込みが必要です。

東京都中央区の社会教育講座にて地域住民、地域メディア、院生らとデジタル・ストーリーテリングの実践を展開(2012)

  • 水越の対応について

今年も大型連休前後から、僕のところで研究をしてみたいという人から連絡が入るようになりました。
僕の研究や研究室に興味を持ってくださって、本当にありがとうございます。
とてもうれしいです。

試験より前に、僕はみなさんとオンラインで会う機会を2回だけ設けています(オンラインで「会う」って不思議な表現ですよね)。
2回目は、上記の「オープンラボ・ウィーク」の一環という位置づけです。

  1. 2020年6月9日(火)17時から約90分  申込み締切:6月7日(日)
  2. 2020年6月21日(日)10時から約90分  申込み締切:6月18日(木)

いずれの会にも僕と、僕が指導する大学院生数名が参加しています。
僕の研究や研究室に興味があり、あれこれ話をしたいという人は上記の締切日時までに、下記のアドレスへメールで連絡をしてください。

アドレス:shin + @ + iii.u-tokyo.ac.jp

上記の2回以外、僕は原則として受験生とは会わないことにしています。

これは、内外のさまざまな大学や企業など事業体から受験されるみなさんに対して、なるべく公正でいるため、僕が個人的に決めたやり方です。同僚の先生方には、出願前までは積極的に受験生と会われる方もいらっしゃいますが、これが僕のやり方なのでどうかご理解いただければと思います。

その代わりにご連絡をいただいた場合には、必要に応じて現役大学院生や同窓生を紹介することがあります。ただしご連絡に対して必ずお返事さしあげるとは限らないということは、あらかじめお断りしておきます。

 

  • 水越の研究

当然ながら事前に会う、会わないは、試験とはまったく関係がありません。

僕に興味を持っていただいているなら、会わなくてもわかることはたくさんあるはずです。
結局はそれらに接して、みなさんがピンとくるかどうかだと思うのです。
そこは理屈以前じゃないでしょうかね。

さしあたり、下記をチェックしていただければ、僕がどういうことをやってきたかがわかってもらえると思います。

  • 主な著作物
    • このウェブサイト内のページ
  • 研究業績リスト:researchmap
    • 科学技術振興機構のデータベース。近年の業績はほぼ網羅してあります。
  • 5:Designing Media Ecology
    • 2014年創刊のバイリンガルの完全独立雑誌。水越は編集長。メディア論とは、メディア現象を分析するだけではなく、その状況に介入し、実践することで得られる知に基づくべきだと、僕は思っています。
  • Radio5
    • 雑誌『5』の姉妹メディアであるバイリンガルのネットラジオ。水越はディレクターの一人。最近は、雑誌編集委員の佐倉統さん(科学社会論)、毛利嘉孝さん(文化社会学)とCOVID-19以後の社会について鼎談などをしています。
  • 放送大学「メディア論 ’18」
    • 飯田豊さん、劉雪雁さんと開講している学部向け授業。番組とテキストがあり、テキストは購入可能です。YouTubeでさわりの映像が見られますが、あまりいい感じじゃないのでみないでください!
  • ブルーバックス・オンライン:お題エッセイシリーズ
    • 佐倉統さんと共に、18年からオンラインエッセイを書いています。これを見てもらうと最近、僕がどういう興味を持っているかがわかります。

また、僕が院生や同僚と展開している研究プロジェクトについてはMedia Biotopeをご覧下さい。

とくに現在は、三つのプロジェクトを展開中です。

  • Infra-Literacy Project
    • メディアのコンテンツ(テキスト)についての批判的読み解きや能動的表現とは別次元の、モノやシステムからなるプラットフォームあるいはインフラストラクチャーに対するリテラシーの次元を切り拓いていく試み。デジタル(GAFA、SNSなど)とマテリアル(空港、ショッピングモールなど)の両方に目配りをしつつ、2018年から展開中。
  • Digital Storytelling & Community Archiving
    • 地域社会のなかで一般の人々が一人称で物語るための技法「デジタル・ストーリーテリング」。その物語を見渡せる範囲でアーカイブしていくこと。それらを通じてコミュニティの参加型デザインを展開していくことを、都市工学、コミュニティデザイン、人工知能、情報デザイン等の仲間と共に、学際的に展開しています。2008年から継続中。
  • 5: Designing Media Ecology
    • メディア論、科学社会論、カルチュラル・スタディーズ、デザイン論、コミュニケーション論、社会学、アクティビズムなどを横断し、理論と実践を結びつけるための小さなメディアの群体をつくる実践的な試み。 2014年から継続中。

撮影:石附染葉氏(2014年)

  • 水越のゆかり

このウェブサイト「水越のゆかり」の他のページもご覧ください。
僕の指導学生が書いた博士論文、おもな修士論文のタイトル一覧や、それらをもとに同窓生らが出した本の一覧もあります。最近、どんどんおもしろい本が出ていますよ。

COVID-19以降の世界はどのようになるのでしょうか。
どのようなビジョンが描けるのでしょうか。
新型コロナウイルス感染の影響が拡大するなか、政治やマスメディアの問題が露わになりました。
デジタル化の光と影のコントラストが強くなり、人の心や社会の闇が深まった気がします。
僕は楽天的な人間ですが、そう感じています。
現政権が掲げるSociety 5.0のような薄っぺらなキーワードにぶら下がって思考停止することなく、冷徹なリアリズムに裏打ちされたビジョンをかかげ、批判的で実践的なメディア論に取り組んでいく。
それによって少しでもこの社会を生きやすい場所にしていきたい。

そんな問題意識とスタイルを共有してくれる大学院生や同窓生が、僕のまわりにはたくさんいます。
研究室という固い感じじゃなく、水越伸に縁やゆかりがある人々といった感じなので、「水越のゆかり」「水越ゆかりの人々」などと呼ばれています。

メディアの仕事が好きだけれど今の業界には批判的か観点を持っている社会人が多い。
強くて優しくて気っ風のいい女性が多い。
みんな理論と実践を結びつけることに奮闘している。
で、基本、全員ワークショップやイベントのデザインと仕切りが圧倒的にうまい。
おたがいを信頼してはいるけれど、ベタベタした仲良しグループじゃない。
それが「水越のゆかり」の伝統的な雰囲気です。

それに共感してくださる人が来てくださることを、僕も院生たちも心から望んでいます。

受験をされるのであればどうか身体を大切にして、しっかりやってくださいね。

水越伸