Shin’s yukari

Lab

哲学者には三つの種類がある。
第一の哲学者は、物の心臓の鼓動を聴き、第二の哲学者は、人間の心臓の鼓動だけを聴き、第三の哲学者は、概念の心臓の鼓動だけを聴く。
そして第四の種類(哲学の教授諸君)は、文献の心臓の鼓動しか聴かない人たちである。
ジンメル著/清水幾太郎訳「日々の断想・8」『愛の断想・日々の断想』岩波文庫、1980年(原著:1923年)

Publication

Projects

博士論文題目
Titles of doctoral thesis

  • 小川明子『声なき想いに物語を:対話的・協働的デジタル・ストーリーテリングの理論と実践』2014./ Akiko Ogawa, Giving Stories to Voiceless Experiences: Theories and Practices of Interactive and Collaborative Digital Storytellings, 2014.
  • 金暻和(金ヨニ)『ケータイのかくれた次元:モバイル・メディアをめぐる解釈的メディア論』2014./ Kyoungwa Yonnie Kim, The Hidden Dimension of Keitai: Interpretational Media Studies on Mobile Media, 2014.
  • 長谷川一『アトラクションとしての日常に関する実践メディア論的考察』2013./ Hajime Hasegawa, Practical Media Studies on Every Day as Attractions”, 2013.
  • 鳥海希世子『市民メディア・デザイン:デジタル社会の民衆芸術をめぐる実践的メディア論』2013./ Kiyoko Toriumi, Citizen Media Design: Practical Media Studies on Folk Arts in Digital Society, 2013.
  • 村田麻里子『ミュージアムとは何か:メディア論的考察による転回』2012./ Mariko Murata, What is Museum?: Media Studies’ Turn, 2012.
  • 伊藤昌亮『フラッシュモブズ:儀礼と運動の交わるところ』2010./ Masaaki Ito, Flash Mobs: Crossroad of Ritual and Movement, 2010.
  • 李双龍『コミュニケーション・メディアと中国農村社会の変容:江蘇省後#鎮朱家橋村のフィールドワークを中心として』1998./ Li Shuanglong, Change of Communication Media and Chinese Farm Area’s Society, 1998.
おもな修士論文題目
Titles of master thesis

歴史社会的研究:Socio-Historical Researches
  • 映像表現教育における「講評会」の研究:表現と受容の循環的活動の可能性
  • 明治期地域社会のコミュニケーション空間の変遷:大日本農会と農談会にみる「農民」の誕生
  • 墓と記憶:掃苔文化から見る墓の文化史
  • 公民館における政策と実践の動態史:パブリックスペースのデザインのために
  • テレビジョンにおける時間デザイン:重層化メディア時代にむけての番組設計論序説
  • カメラとテレビ表現・生産:テクノロジーとローカル放送局に関する歴史文化的研究
  • デザインの政治:《スバル360》をめぐる感覚の社会史
  • 科学雑誌における「科学」イメージの生成と変容:『科学朝日』の編集者、登場人物(書き手・話し手)、読者の構成する「科学」をめぐって
  • モード以前の事:国民服と標準服のデザイン決定及び普及活動に見られる衣服のメディア性とコミュニケーション状況

実践的・開発型研究:Practical&Developmental Researches

  • ハイブリッド流:多文化共生社会に向けたエスニック・メディアの再考と提言
  • 開発とメディア:援助と現地の文化的相克を超えて
  • 市民による映像表現活動の展開に関する実践的メディア研究:「思い出のビデオアルバムづくり」の実践と分析から
  • メディアを学ぶ場に歴史的視点を与える試み:テレビ50年の概観支援ツール『TV-AXIS』の制作と活用実践を通じて
  • 博物館資源を活用した闘病支援プログラムの提案:「ホスピタルリーチ」プロジェクト

エスノグラフィー:Ethnography

  • 生活空間におかれる写真のメディア論:物語行為としての写真実践とアイデンティティ構築
  • 日常の「演出」と「しつらえ」:台東区谷中、人々の生活空間でいとなまれる表現実践の実証的研究
  • デザインされる「地域」、経験される「地域」:『大地の芸術祭・越後妻有アートトリエンナーレ』をめぐる衝突・交渉・協働
  • 「もの」としてのケータイ:東京におけるエスノグラフィーを通じたメディア論
  • テレビとローカル・アイデンティティー:北海道・東海地方におけるローカルワイド番組の制作・視聴をめぐって

思想的・理論的研究:Philosophical&Theoretical Researches

  • 「コト」がうみだす権力と可能性:「情報デザイン」概念をめぐる批判的デザイン研究
  • 「ハッカブル」な場:デジタルメディア時代の「人びとの表現」の批判的再検討
  • 想像の電子共同体:「オンライン・コミュニティ」概念の批判的検証
  • デジタル・メディア社会における知と出版:「モノづくり」から「コト編み」へ
  • インターフェイス:コンピュータと対峙する時

政治経済的・産業的研究:Political Economy

  • 新聞広告、内からの活性化の試み :NPO・NGOと企業のタイアップ広告をめぐるメディア論
  • 音楽制作機能の拡散にみるレコード産業構造の変容:ポピュラー音楽生産の主体を巡って
  • アメリカにおけるオルタナティブ・メディアの政治学:批判的実践に関わる人々へのインタビュー調査を中心として
  • 転換期における中国新聞メディアの変容 :その歴史・現状・読者の視点から

水越伸の研究
メディアの生成、展開のダイナミズムを、情報技術のみに注目するのではなく、人間や社会の側からとらえていく「ソシオ・メディア論」に取り組んできました。もともと社会史的、人類学的なアプローチを取り ながら、放送からモバイルにいたるまで、多様なメディアの生産と消費の現場をフィールドワークしてきました。現在はそこからさらに一歩踏みだし、歴史的、思想的、実証的な知見を踏まえながらも、ワークショップなどのデザインやプロデュースを通して日常生活におけるメディアと人間の関わり方を異化し、組み替えていくような実践的研究(批判的メディア実践=Critical Media Practice)を展開しつつあります。すなわち、歴史的、思想的、実証的な研究(分析知)と、実践的、デザイン的な研究(創造知)を結びつけ、新しい時代のメディアとコミュニケーションをめぐる研究領域を生みだそうと、院生や仲間たちと日々格闘しているところです。さらに、そうした営みをもとに小さなメディアの生態系を生みだし、ネットワーク展開していこうとする隠喩の体系、「メディア・ビオトープ」(media biotope)を提唱しています。水越の略歴や連絡先はCv & Contactを、著作はPublication JPulicatoin Eを、共同研究プロジェクトについてはこちらをチェックしください。
またJSTのresearchmap(日英両文)にも詳細な略歴、業績情報を掲載しています。

水越の縁(=ゆかり)

水越研究室は、大学院学際情報学府(大学院情報学環の教育組織)の修士課程、博士課程の大学院生、外国人研究生、内外の客員研究員、編集・研究事務担当のアシスタント、そして水越伸からなっています。
とてもシンプルです。

水越は、この研究室を、適度な大きさの気のおけない場所とし、活発でおしゃべりの絶えない研究者のコミュニティになるようにつとめてきました。それは、本だらけの文系の教員室とも、巨大な工学系のラボともちがうものです。

水越はラボ(研究室)といういい方があまり好きではなく、彼のまわりのコミュニティを、メディアと社会についての理想や関心を共有する人々のゆるやかなネットワークという意味で、「水越のゆかり」、「水越ゆかりの人々」呼びたがっています。それがこのウェブサイトのタイトルになっているわけです。

大学院を目指すみなさんへのメッセージ

重い思想的な悩みを抱えながら、軽いフットワークで動ける人に期待しています。本当の思想は、実践のリアリティの中で初めて鍛えられるからです。メディ アをめぐる現象の分析や解釈に留まるのではなく、市民社会の中で、新しいメディアを育み、コミュニケーションの回路を切り開いていくことに立ち向かっていく姿勢を持つ人を望んでいます。

水越の指導院生にはじつにさまざまな人がいますが、おおまかにいえばメディアの歴史的な研究、メディアの送り手やメディア表現の現場をフィールドワークする人類学的な研究、あらたなメディアのデザインをする実践的な研究を進める人たちの三系統の人々がいます。

メディアの現場を愛していながら、しかも批判的にとらえようとする「批判的実践者」が多く、ゼミや呑み会や実践ワークショップなどを繰り広げながら、厳しくも相当に濃密で愉快な共同体を形成しています。水越自身も日々、そのなかで学んでいます。