第4回 メディアスタディーズ・フォーラムのお知らせ

テーマ:
今のゼミはこれでいいのだろうか:
変化する大学、メディア環境のなかでの学びの共同体のゆくえ

関西圏でメディア、ジャーナリズム、コミュニケーション、文化研究などに取り組む人々がゆるく集うことができる機会を設けようとしてはじまったメディアスタディーズ・フォーラム(MSF)。

第4回目は、ゼミのありかたやその可能性と課題について報告をしてもらい、語り合います。

第4回 メディアスタディーズ・フォーラムのテーマ

長い間、ゼミ(独語ゼミナールの略語)は日本の文系学部教育のコアをなし、英米系で言う「セミナー」とは異なる、独特の濃い学びの共同体として機能してきました。

しかし就活時期の早まり、サークル、アルバイトやインターンなどの中での相対化、なにより新型コロナ禍などによって、近年、ゼミのあり方は大きく変わってきてはいないでしょうか。
その変化に対応して、このフォーラムの関連領域では、フィールドワークやワークショップの導入、メディア作品の制作や実践への参加などに取り組むゼミが多くなっています。一方でジェンダーバランスや留学生の受け容れ方、メディア・ビジネスとの関わり方、卒論の位置づけなどの課題もあるようです。

いずれにしても私たちはゼミの問題は研究とは別のことと考えがちで、同僚との雑談でしか話題にしない場合が大半ではないでしょうか。しかしこれは未来の高等教育をいかに(リ)デザインするかという、それ自体重要な研究課題だといえます。

今回のMSFでは、おもに学部のゼミに焦点をあて、伊藤高史、畑仲哲雄、劉雪雁という相対的にアプローチが異なるお三人から、それぞれのゼミの現状、可能性や課題について率直なところを報告していただき、藤嶋陽子さんの質疑を皮切りにみなさんで議論を展開していきたいと考えています。

大学教員の方も、将来そうなることを志望している方々も、現役の学生さんも、どうかふるってご参加ください。

今回もハイフレックス開催。

対面参加者のみなさんとは終了後にお食事会を開催したいと思います。

参考:
伏木田稚子『ゼミナールにおける汎用的技能の習得:探究に基づく共同体的な学習環境の価値』 風間書房、2021.

日時:4月20日(土)15時から17時30分まで

登壇予定者:
伊藤高史(同志社大学)
劉 雪雁(関西大学)
畑仲哲雄(龍谷大学)

司会&討論者:
藤嶋陽子(立命館大学)

ファシリテーター:
水越 伸(関西大学)

Continue reading “第4回 メディアスタディーズ・フォーラムのお知らせ”

3/9-10:INSTeMコンベンション「大人のためのリテラシ−:これからの知恵と技法を考える」開催

私が関わっている(財)INSTeMが、3月9日(土)10日(日)、東京大学本郷キャンパス福武ホールにおいてコンベンションを開催します。

タイトルは「大人のためのリテラシ−:これからの知恵と技法を考える」

オーディエンスとしての一般参加者とともに、アートやデザイン、企業教育、まちづくり、環境保全、メディア・プラットフォームまで、さまざまな領域でリテラシーに関わる実践やプログラムを展開してきている人たちに出展をお願いしたく、その広報を開始しました。

私は長い間、「リテラシー(Literacy)」という言葉を、文字の読み書きという営み(あるいは能力)と、その比喩であり応用であるメディア・リテラシーに限って用いるべきだと考えてきました。リテラシーとは、文字という記号体系の理解や活用のことを指す言葉なので、たとえば科学リテラシーや環境リテラシーといった用語は論理的におかしいと思ってきたのです。

例外は金融リテラシーで、それは貨幣も言語同様の記号体系だからです。しかし、英語ではリテラシーに対してニューメラシー(numeracy)という単語があり、それを使えばよいではないかと思ってきていました。

ただ、科学技術、環境、金融その他の領域でリテラシーに取り組んでいる人々の考え方や活動に接してみると、それぞれリテラシーという言葉を使いたくなる、あるいは使わざるを得ない事情があることがわかってきました。

Continue reading “3/9-10:INSTeMコンベンション「大人のためのリテラシ−:これからの知恵と技法を考える」開催”

『メディア教育宣言:デジタル社会をどう生きるか』発売

デビッド・バッキンガム『メディア教育宣言:デジタル社会をどう生きるか』(世界思想社)が、2024年11月16日に開始です。

いい本です。装丁もキレイで洒落てます。

ただし個人的には、他人が書いた本の翻訳などしている場合じゃなくて、自分自身の本を仕上げなくてはならない。しかし諸般の経緯から、監訳と解説文を引き受けました。

バッキンガムの俯瞰力と豪胆さは素晴らしい。ただ、日本を含む東アジアには相対的に独特なメディア環境がある。こちらにもそれなりの経験と蓄積がある。

自分の作品づくり、これからがんばります。


I supervised the translation of David Buckingham’s The Media Education Manifesto.

It is a good book. The design is beautiful and stylish.

However, I should be finishing my own book, not translating a book written by someone else. But I took on the job for various reasons, including the commentary.

Buckingham’s bird’s-eye view and boldness are fabulous. However, East Asia, including Japan, has a relatively unique media environment. We have our own experiences and thoughts.

I will do my best to create my own work from now on.

魔改造ワークショップをやりました!

去る7月末、東京大学大学院学際情報学府で「メディアとリテラシーの未来」という4日間の集中講義を行いました。

メディア論とメディア・リテラシーを3つの次元に分けてとらえ、それぞれに対応した3つのワークショップをおこないました。メディアとリテラシーを思弁的にではなく、体感的に深く理解してもらうためです。

第3の次元、すなわちプラットフォームをデザインする次元では、情報学環と学際情報学府という学びの場を魔改造するというワークショップをおこないました。

この度、そのワークショップ・レポートが、学環・学府のウェブサイトにアップされました。

写真撮影とレポート執筆をして下さった柳志旼(ユ・ジミン)さん、どうもありがとうございました。

みんな楽しかったね、また会いましょう!

July 25, 2023, the first day of the intensive course

At the end of last July, I gave a four-day intensive course at the Graduate School of Interdisciplinary Information Studies (GSII) of the University of Tokyo titled “The Future of Media and Literacy.”

I divided media theory and media literacy into three dimensions and conducted three workshops corresponding to each. The purpose was to provide a deep understanding of media and literacy, not speculatively, but experientially.

For the third dimension of designing a platform, I conducted a workshop called “Magical Transformation (Makaizo) of the Interfaculty Initiative in Information Studies (III) and GSII as A Learning Platform.”

A workshop record is now available on the III/GSII website.

Thanks to Jimmine Yoo for taking the photos and writing the report.

Everyone had a great time, see you again!

水越より2024年度大学院進学希望者のみなさんへ

関西大学大学院社会学研究科メディア専攻では、2023年10月と2024年2月に大学院入学試験があります。水越は、修士課程(博士前期課程)、および博士課程(博士後期課程)のいずれの大学院生も受け入れています。

水越研究室でどのような研究ができるのか、いかなる学生に来てもらうことを期待しているかなどといったことについて、Graduate Schoolでくわしく説明をしています。読んでみてください。

Shin Mizukoshi’s Seminar 2023

三つだけ大切なことを記しておきます。

第一に、水越研究室では、日本の大学を卒業してそのまま進学する学生たち、メディアやIT企業などに勤める社会人学生たち、留学生たちの3系統の学生がいます。とくにメディアで働くことが好きで、充実感を感じているものの、このままではなにかがいけないのではないか、そのことを考えるために学びたいと思う社会人学生を歓迎しています。実務家だけれど批判的な意識を育みたい、すなわち「批判的メディア実践者」の方々をお待ちします。

第二に、受験生からのメールなどによる連絡にはなるべく返事をするようにしますが、必ず返事をするとは限りません。あらかじめご了承ください。

くり返しいえば、Graduate Schoolをよくお読みください。

受験をするのであれば、身体を大切にして、しっかり準備をするようにして下さい。

水越伸